透析療法とは
腎臓の機能が著しく低下した末期腎不全(CKD ステージG5)になると、腎臓が行っていた老廃物や余分な水分の除去を人工的に行う「透析療法」が必要になります。透析療法には大きく分けて2つの方法があります。
- 血液透析(HD:Hemodialysis)
- 腹膜透析(PD:Peritoneal Dialysis)
どちらも老廃物を除去するという目的は同じですが、仕組みや生活への影響が大きく異なります。
血液透析(HD)の仕組みと特徴
血液透析は、体から血液を取り出し、ダイアライザー(人工腎臓)を通して浄化した後、体に戻す方法です。通常は週3回、1回4〜5時間、医療機関(透析クリニックや病院)に通って行います。
血液透析のメリット
- 医療スタッフが管理するため、患者自身の処置負担が少ない
- 透析中に医師・看護師がすぐそばにいるため、体調変化に迅速に対応できる
- 週3回の通院以外は自由な時間が確保できる
血液透析のデメリット
- 週3回・各4〜5時間の通院が必要で、生活スケジュールが制限される
- 透析と透析の間に水分・食事の制限が比較的厳しい
- シャント(血管のバイパス)造設手術が必要
- 透析後に血圧低下や倦怠感を感じる場合がある
腹膜透析(PD)の仕組みと特徴
腹膜透析は、腹部に細いカテーテルを挿入し、腹腔内に透析液を注入・排出することで、お腹の内側の腹膜を利用して老廃物を除去する方法です。多くは自宅で1日に数回行います。
腹膜透析のメリット
- 自宅で行えるため、生活リズムを保ちやすい
- 毎日ゆっくり透析するため、食事・水分の制限が比較的緩やか
- 残腎機能(残っている腎臓の働き)を長く保ちやすい傾向がある
- 仕事・学校に通いながら続けやすい
腹膜透析のデメリット
- 患者(またはご家族)自身が毎日処置を行う必要がある
- 腹膜炎(感染症)のリスクがあり、清潔操作の徹底が必要
- 長期間使用すると腹膜機能が低下するため、一般的に5〜10年程度が目安
- 腹部に常時カテーテルが挿入された状態になる
血液透析と腹膜透析の比較表
| 項目 | 血液透析(HD) | 腹膜透析(PD) |
|---|---|---|
| 実施場所 | 医療機関 | 主に自宅 |
| 頻度・時間 | 週3回・各4〜5時間 | 毎日(1日数回の交換) |
| 自己管理の負担 | 比較的少ない | 自分で処置が必要 |
| 食事・水分制限 | 比較的厳しい | 比較的緩やか |
| 感染リスク | シャント感染 | 腹膜炎 |
| 社会生活 | 通院日は拘束される | スケジュールの自由度が高い |
どちらを選ぶかは医師と相談を
透析方法の選択は、患者の残腎機能・合併症・生活環境・本人の希望などを総合的に考慮して決まります。どちらが「正解」ということではなく、その人の状況に合った方法を選ぶことが大切です。「まだ透析が始まっていないが、将来に備えて知っておきたい」という段階から、主治医に相談しておくことをおすすめします。