健康診断の結果票を正しく読むために
毎年受ける健康診断の結果票には、腎臓の状態を示す重要な数値がいくつか含まれています。しかし「異常なし」「要経過観察」「要精密検査」といった判定だけでは、何がどの程度問題なのかわかりにくいことがあります。ここでは腎臓に関連する主な検査項目とその読み方を解説します。
尿検査で確認すべき項目
尿たんぱく(尿蛋白)
健康な腎臓はたんぱく質をほとんど尿に漏らしません。尿たんぱくが「+(陽性)」以上だった場合は、腎臓のフィルター機能が低下している可能性があります。
- (-)陰性:正常範囲
- (±)疑陽性:要経過観察(発熱・激しい運動後でも一時的に出ることがある)
- (+)以上:要精密検査。腎臓専門医への受診を検討
尿潜血
尿に血液が混じっているサインです。腎臓・尿管・膀胱などの異常が考えられます。一度の陽性で慌てる必要はありませんが、繰り返し陽性の場合は精密検査が必要です。
血液検査で確認すべき項目
血清クレアチニン(Cr)
筋肉由来の老廃物で、腎臓で濾過されます。値が高いほど腎臓の働きが低下していることを示します。基準値は成人男性でおおよそ0.65〜1.07 mg/dL、女性で0.46〜0.79 mg/dL程度ですが、筋肉量・年齢・性別によって異なります。
eGFR(推算糸球体ろ過量)
クレアチニン値・年齢・性別から計算される腎機能の指標で、腎臓が1分間に何mLの血液を濾過できるかを示します。CKDの診断と重症度分類に使われる最重要指標です。
| eGFR(mL/分/1.73㎡) | CKDステージ | 腎機能の状態 |
|---|---|---|
| 90以上 | G1 | ほぼ正常(他の異常がある場合のみCKD) |
| 60〜89 | G2 | 軽度低下 |
| 45〜59 | G3a | 軽度〜中等度低下 |
| 30〜44 | G3b | 中等度〜高度低下 |
| 15〜29 | G4 | 高度低下 |
| 15未満 | G5 | 末期腎不全(透析・移植の検討) |
BUN(血中尿素窒素)
たんぱく質が分解されてできる老廃物です。腎機能低下・高たんぱく食・脱水などで上昇します。クレアチニンと合わせて評価されることが多い指標です。基準値はおおよそ8〜20 mg/dL程度です。
血清カリウム・リン
腎機能が低下するとカリウムとリンが体内に蓄積しやすくなります。高カリウム血症は不整脈の原因になり、リンの蓄積は骨や血管に影響します。定期的な血液検査でこれらの値を確認することが重要です。
「要経過観察」「要精密検査」はどう対応すべきか
- 要経過観察:次回の健診まで待つのではなく、3〜6ヶ月後に再検査することが望ましい。かかりつけ医に相談するのが安心
- 要精密検査:できるだけ早く(目安として1ヶ月以内)、腎臓内科・泌尿器科を受診する
健診結果を活かすために
健康診断の結果は「見て安心して終わり」にしてしまいがちですが、腎臓に関する数値は毎年の変化を追うことが大切です。昨年と比べてeGFRが下がっていないか、尿たんぱくが毎回陽性になっていないかを確認する習慣をつけましょう。結果票は捨てずに保管し、受診時に医師に見せることをおすすめします。